1 .役員の意義及び範囲(法2十五、令7等)

法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち次に掲げるものをいう。
(1)法人の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限る。以下同じ。)以外の者
(2)同族会社の使用人のうち、次の要件のすべてを満たしている者
– ①所有割合が最も大きい株主グループから順次その順位を付し、その所有割合を順次加算した場合において、
はじめて50%を超えるときにおけるこれらの株主グループ(同順位の場合にはその全ての株主グループ。)の上位3順位のいずれかにその者が属していること。
– ②その者の属する株主グループの所有割合が10%を超えていること。
– ③その者(その配偶者及びこれらの者の所有割合が50%を超える他の会社を含む。)の所有割合が5%を超えていること。

<< 解説 >>
法人税法の世界での「役員」は、社会一般的に使われている「役員」よりもやや広い概念です。
図示すると以下の通りです。

法人税:リース譲渡の特例(法63②⑦⑧、令124、125)

#### (1)内容
内国法人がリース譲渡を行った場合には、延払い基準に関する規定にかかわらず、
そのリース譲渡の日の属する事業年度以後の各事業年度の収益の額及び費用の額として次の金額は、
その各事業年度の益金の額及び損金の額に算入する。
– ①収益の額・・・・・・その事業年度に帰せられる元本相当額 + 利息相当額
– ②費用の額・・・・・・その事業年度に帰せられる原価の額
(注)利息相当額(対価の額 – 原価の額) × 20%

#### (2)申告要件
この規定は、確定申告書に益金算入及び損金算入に関する明細の記載がある場合に限り適用する。
ただし、税務署長による宥恕がある。

#### (3)解除等をした場合
(1)の事業年度後のいずれかの事業年度において契約の解除等をした場合には、
そのリース譲渡に係る収益の額及び費用の額
(その事業年度前の各事業年度の所得の金額に算入されるものを除く。)は、
その解除等をした事業年度の益金の額及び損金の額に算入する。

リース会社の立場の規定。
リースの会計処理については、長年通達による課税が行われて来たが、
平成17年に施行令、平成19年に本法に条文ができることとなった。

法人税:信託財産に属する資産及び負債等の帰属

(1)内容(法12①)
信託の受益者は、
その信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、
かつ、その信託財産に帰せられる収益及び費用はその受益者の収益及び費用とみなして、
法人税法の規定を適用する。
ただし、集団投資信託、退職年金等信託、
特定公益信託等又は法人課税信託の信託財産に属する資産及び負債並びにその信託財産に帰せられる収益及び費用については、この限りでない。

(2)集団投資信託その他の信託(法12③)
法人が受託者となる集団投資信託、
退職年金等信託又は特定公益信託等の信託財産に属する資産及び負債並びにその信託財産に帰せられる収益及び費用は、
その法人の各事業年度の所得の金額及び各連結事業年度の連結所得の金額の計算上、
その法人の資産及び負債並びに収益及び費用でないものとみなして、法人税法の規定を適用する。

(3)法人課税信託(法4の6)
法人課税信託の受託者は、
各法人課税信託の信託資産等及び固有資産等ごとに、
それぞれ別の者とみなして、法人税法の規定を適用する。
この場合、各法人課税信託の信託資産等及び固有資産等は、
そのみなされた各別の者にそれぞれ帰属するものとする。
(注1)信託資産等とは、信託財産に属する資産及び負債並びにその信託財産に帰せられる収益及び費用をいう。
(注2)固有資産等とは、法人課税信託の信託資産等以外の資産及び負債並びに収益及び費用をいう。

法人税:実質所得者課税の原則(法11)

資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が
単なる名義人であって、その収益を享受せず、
その者以外の法人がその収益を享受する場合には、
その収益は、これを享受する法人に帰属するものとして、
法人税法の規定を適用する。

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所得税の納税義務者

1納税義務の種類
——–
(1) 居住者とは、[[国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人]]をいう。

(2) 非永住者とは、居住者のうち、[[日本国籍を有しておらず]]、かつ、[[過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人]]をいう。

(3) 非居住者とは、[[居住者以外の個人]]をいう。

(注)公務員は、原則として、国内に住所を有しない期間についても国内に住所を有するものとみなして、上記の判定を行う。

2 課税所得の範囲(課税物件)
——–
(1) 非永住者以外の居住者 — [[すべての所得]]
(2) 非永住者 — [[国外源泉所得]]以外の所得及び[[国外源泉所得で国内において支払われ]]、又は[[国外から送金されたもの
(3) 非居住者 — [[国内源泉所得]]

(注1)国内源泉所得とは、以下をいう。
・ 国内にある土地建物の[[譲渡]]の対価
・ 国内にある[[不動産]]の貸付けの対価
・ 日本国の[[国債]]
・ [[地方債]]又は[[内国法人]]が発行する債券の利子
・ [[国内にある営業所]]に預けられた預貯金の利子
・ [[内国法人から受ける配当]]又は国内における勤務等による給与等
・ その他一定のもので、その[[源泉]]が国内にある所得として一定のもの。

(注2)国外源泉所得とは以下をいう。
・ その源泉が国外にある所得として一定のもの
 ただし、[[租税条約]]により異なる定めがある場合は、その条約の定めるところによる。

3 課税方法(総合課税と分離課税)
——–
(1) 居住者
 原則として、[[総合課税]]の方法による
(2) 非居住者
 1. [[恒久的施設]]を有する非居住者
   [[恒久的施設帰属所得]]に係る所得は、居住者に準じて課税される。
   その他の国内源泉所得は、下記2.に準じて課税される。
   なお、所得控除は、[[雑損控除]]、[[寄附金控除]]及び[[基礎控除]]のみが適用される。
2. 1.以外の居住者
   [[国内にある資産の運用等]]による所得は、居住者に準じて課税される。
   その他の国内源泉所得は、[[源泉分離課税]]の方法による。

(注)[[恒久的施設]]とは、非居住者の国内にある支店、工場などをいう。

4 復興特別所得税の納税義務者
——–
 所得税の納税義務者は、復興特別所得税の納税義務がある。

法人税の納税義務者

1.内国法人の納税義務
内国法人は、法人税を納める義務が[[ある]]。ただし、[[公益法人等]]又は[[人格のない社団等]]については、[[収益事業]]を行う場合、[[法人課税信託の引受け]]を行う場合又は[[退職年金業務等]]を行う場合に限る。 (法4①)
2.公共法人の納税義務
公共法人は、[[1にかかわらず、法人税を納める義務がない]]。(法4②)
3.外国法人の納税義務
外国法人は、[[国内源泉所得を有する]]とき、[[法人課税信託の引受け]]を行うとき又は[[退職年金業務等]]を行うときは、法人税を納める義務がある。ただし、[[人格のない社団等]]にあっては、その[[国内源泉所得]]で[[収益事業]]から生ずるものを有するときに限る。(法4③)
4.個人の納税義務
個人は、[[法人課税信託の引受け]]を行うときは、法人税を納める義務がある。 (法4④)

不当な所得

日本の所得税法は、所定の定義規定を置いていないが、全ての経済的利得を所得とする。いわゆる[[包括的所得概念]]を採用しているものと解されている。この考え方は、[[純資産増加説]]とも呼ばれ、所得を純資産の増減と消費の合計額として捉える。